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地図をつくらない

余生というにはみじかく、夏休みにしては長い

8月24日

「わー。なんかたのしい」とおもった。

わー。なんかたのしい。呆けておる。あなたは正常な読者諸兄によろしくご鳳声ください。

 

オリンピックも高校野球もおわってほっとしている。

高校野球はまだしも、オリンピックというものが苦手だ。あれは愛国心じゃない。日本の場合はそんなにナショナリズムでもない。ましてエスノセントリズムともほど遠い。そこらへんはいい。そこらへんはいいんだ。でも、「踊る阿呆に見る阿呆」の解釈を最大限に勘違いした「みんな阿呆だから阿呆になっていいんだ祭」だとおもう。

とはいえ夏季にせよ冬季にせよ、マイナー競技、それこそ国内トップ、なんなら世界レベル上位の選手でさえ正業(副業ではない)やアルバイトをしながら競技費用を捻出している、なんて状況を白日のもとにさらす機会になりうるわけで、今回ならカヌーや競歩であったり、冬季ではリュージュやスケルトン(ボブスレーカーリングあたりも映画やドキュメンタリーで一時的に盛り上がったり認知はされてもいまだ厳しいのではないだろうか)。そこは大事だとおもう。そこは。

そういう角度でみるとサッカーW杯の狂騒に比べればまだ意味があるかしら…ともおもうけれど、サッカーだってJリーグ揺籃期世代のぼくからすれば、隔世の感があるものなあ…。「Jリーガー牙」とか読んでました。ブジヨシ…。

 

「わー。なんかたのしい」ってなんでおもったんだろう。

そこが謎である。

おそらくあと1時間でスーパーが開く。

ぼくはスーパーで買いたいものがいろいろある。

それでたのしい。

たぶん。

おそらくは。

もしかしたら。

 

 

 

酒粕あまいかしょっぱいか

深夜4時。

どうしても粕汁が食べたくなってしまった。

冬にビアガーデンを探して歩くようなものである。

それでも食べたくなっちまったんだから、しょうがない。

 

長髪、というかちょんまげ、口許にも顎にもひょろひょろとひげをたくわえた三十路男が突如あらわれ「酒粕置いてないすか」なんて訊くものだから、店員さんもびびった。

すこしでも威圧感と違和感をやわらげようとバンTことバンドTシャツ(かつての名古屋の雄・シャビーボーイズ)で接しやすさを増したつもりだったのだが、知らんひとは知らん。当たり前だ。いくら鹿野淳が帯にコメントを寄せたって、そのまま「こんにちは未来」とはならぬ。ザッツ・28時のドキュメンツ。

 

そういったわけで、酒粕などなかった。

晩夏の入り口に差し掛かったこの世界に酒粕などなかったのだった。

ふしぎとそのことに安堵をおぼえながら(だって、8月に白菜があるんだぜ。おかしいだろう)ぼくは白味噌を買って帰った。鴨川べりの一筋を端歩、ぐんぐんとゆく。寄せるというより、せめてものお願い王手であった。

 

昆布とかつおで薄く出汁をとり、ややトチ狂った量の日本酒を加え、あく抜きしたコンニャク、油抜きしたおあげさん、大根、にんじん、豚コマを煮る。すこしだけしょう油も。

 

さて。

ぼくはいったいなにをしているのだろう。

 

あわれ粕汁ならぬ白味噌汁よ、つたえてよ。

男ありて早朝にひとり料りながらおもいにふけると。

 

 

  

地図をつくらない

夜明け前がいちばん暗いというが

夜明けにたどりつけなかったひとの

背中をみているあなたに

語りかけることばをもたないぼくは

地図をつくらない

 

はじめに町の名前を決めた

誰かと住むにふさわしいひびきの

遠回りしてでも帰りたくなる

夕暮れ 駅前で揚がるコロッケのにおい

ピカピカの靴が汚れてなじむような

そんな

地図はつくらない

 

あなたと出会う前のほうが

あなたとすれ違っていた気がする

コンマ何秒の永遠を

やわらかく抱いていたかった

 

点を打ってみる

調子っぱずれな場所まで

無理やりつなげれば嘘も欺瞞も

星になるように

 

夜明け前がいちばん暗いというが

暗くなるまえに立ち去ってしまった

ぼくはこの町のことを

よく知らない

 

 

 

8月21日

酔っ払った勢いで古本を追加注文。

 

こういう言い方が適切でないのはわかっているが、いわゆる「観る将」「将棋クラスタ」を自称するひとたちの多くは古典に弱い。現在進行形での情報、ネット上でサーチ・補完できるソースへの反射神経と分け入り方はすごいけれど、彼らは学問として、あるいは体系的な将棋史を追っているわけではない(とおもう)。

現時点ではごくごくかぎられたパイを奪い合う、承認欲求レースに見えてしまうのでぼくはなんだかしらけてしまう(もちろん某Oさんのように各地の解説会やイベントに足を運びまくりグッズを買いまくるようなひとは別格だ。いくら性格的にめんどくさそうでもその点において「ファンの鑑」としてなんの文句もない)のだが。

「観る将のレベルを測る検定とかできないかな」とか言っている勘違い野郎(おっと失礼)がいたり、ただネット上での自身のポジションを堅持するためにパッと見、良識的ながら筋違いな発言をしたり、特定の棋士を推しつつもなんだかんだ根っこにおいて将棋界に対するリスペクトのないひとだったり。そういうのはバレる。

だいたいそういうのはおっさんだ。ぼくもおっさんだが。30歳~40歳くらいのひとまわりした小さな挫折をぺろぺろする代償行為だったりするのだ。

 

ぼくもまあ、同類とはおもいたくないが、同病ではあるだろう。いや、自分ではそこまでではないとおもっているから、実際にはほとんど一緒なんだとおもう。

ぼくは学問として将棋史をつきつめたい。

そのうえで、将棋(界)にめちゃくちゃお金と時間と労力を使う。これは誓いである。

古本いくら買ってもそれは関係ないけど。

最低でも年間100万円は(それ以外、連盟や棋士や教室や催しなどに直接還元されるかたちで)将棋に投資したいんですよ。

 

笑えばいいとおもう。

もちろん、指すor観るor撮るor描く将などですてきな将棋ファンもたくさんおられるけど、くそみたいに発言だけでマウントポジションをとりたがるひとほど声が大きかったり通ったりするから、そういうひとたちと対抗できるだけの存在にいつかなれたらいいな。ただしぼくはtwitterも鍵アカ、こっそりやるだけ。表舞台には出ません。謎の存在として都市伝説みたいになれれば本望です。

 

女流棋士会女流棋士の本」 、炬口勝弘「王手!将棋戦国絵巻」、島朗「将棋界が分かる本」、田辺忠幸「将棋昭和史」、田中寅彦「これがチャイルドブランドだ!」、奥山紅樹「前進できぬ駒はない!」、上地隆蔵「奇跡の一手」、天狗太郎「勝負師の門」、原田泰夫「原田九段の書と随想」

遠見の角

1ヶ月に1度あるかないか程度に体調がギャン悪、げろしゃぶであった。

午前中から初恋のような嘔吐の嵐、昼過ぎにようやく小康を得、スーパーへ。ショック療法を期待してチューハイをのむも1本とすこしで劇的なダメージをくらい、そこから約半日、寝たきり状態。全身がしびれ、吐き気、胃痛、もうどうにでもしてー!介錯してー!といった体。

 

日付が変わるころ、ようやく気合いで復活。

見さしていた「棋士御一行様自腹で爆買いツアー」の続きと、叡王戦八段予選をTSで。ちびちびウーロンハイ。

小松菜と平茸を炒める。

のみはじめて3時間、さすがにここまでくればだいじょうぶだろうか。

 

棋士競馬(てきとうな略称がわからない)はニコ生コンテンツとしてとてもおもしろかった。人選もいいなあ、とおもう。渡辺竜王ありきの企画ならば、これ以上にしっくりくるバランスは考えられない、というような。A級経験者の年上(阿久津先生は同期だけど)ふたり、そして女流ながら奨励会時代からのつきあい竹部さん。シモテから順に毒舌、辛口、放言、自虐の見事なカルテットでした。地方競馬もいいなあ。

もうひと昔以上まえの話だが、ぼくもお馬さんぱかぱかに熱をあげていたので、ひさびさにやりたくなり、インターネットで馬券を買えるシステムをしらべ、指定口座の開設手続きなどしてしまった。ノリだけである。さてどうなることやら。

 

そしていまは加藤一二三先生に癒されております。

竜王戦、どこまでいけるかなあ。

 

最後に余談ながら、実家の向かいにあるお寺(小さいころの遊び場だった)に、なんと大橋家三代のお墓があることを31歳にして知る。

まるで遠見の角のようなご縁である。

 

  

スクイズ

午前4時起床。コンビニ。チューハイ2本、あとはウーロンハイ。途中、2度寝ようと試みる。未遂。昼になってスーパー。ウーロンハイ。大根を煮る。

 

なんだかぽわぽわしている。

ぽわぽわといえば椎名もたくんが死んだのはいつだったか。ヌーマが死んで1年か。ほかは誰が死んだっけ。ヒロタくん、タカシ、コウさん、旧い記憶だけははっきりとしているのに、あとはぼんやりだ。あまり寒い季節には知り合いが減らない。おもえばなんとか過ごした月日。終わらねえ夜から朝までだって、BACK IN THE DAYものじゃもう泣けないのよ。

 

将棋の話をすこし。

森田一級は初段昇段の一局を落としてしまったようだ。直近11勝5敗。惜しい。白黒が入れ替わっていれば…などと部外者のぼくが地団駄ふんでも仕方あるまい。なお、あの独特の斜め座りおよび傾き加減は師匠の研究会の写真などみるかぎり、天性の模様。それならしゃあない。

加瀬門下の速水三級は二級に復帰。宮田門下の少年・伊藤匠初段は三段リーグ編入試験の小山アマに敗北。原則二段との手合、ということだったが、おそらく今期は東西あわせて三段昇段が6人もいたので、人数的な問題で当たったのではないか、と推測。

そして奨励会試験には小学生名人の市岡(真)くんが合格したらしい。小学4年生!しかし、どうも3年生の子も受かったらしく、どうなることやらである。なお準名人の正道くんはまだ研修会C1で指し分けくらいの戦績。なにがちがうのだろうか。市岡くんの弟も強いっぽいので、早咲さんでなくても期待してしまう。

 

三段リーグはついに次が最終節である。

一般的な焦点は藤井三段の一期抜け、最年少プロ棋士誕生成るか否か、だろうけれど、彼と最終局で当たる西山三段がどこまで順位を上げるか、里見三段が指し分けにまで持ち込めるか、等々かしら(マニア筋だと川崎三段のこころが折れないか、とか、森ノブ先生の体調が悪くならないか、なんてのもあるとおもう)。

個人的な希望だけでいえば、藤井、甲斐三段が抜けて、大橋三段が次点ふたつでフリークラス入り、がもっともうつくしい気がする。ただ、そのためには藤井、甲斐が連勝、大橋1勝1敗のうえ、池永三段が齋藤三段に負けるのが大前提ということになってしまう。ううう…。都合がよすぎるだろうなあ。これは。

 

いなくなるひと、というのには、いろんなかたちがある。

見送られるひと、ひっそり消えるひと、記憶や記録に残る・残らないひと。

アウトひとつにも意味や価値がある。

そしてその意味や価値がそのときどきで千差万別の重みをもってくるから、ややこしいのだ。ややこしいことをしているのだ。生き残ってしまっているものは、塁上でもベンチでもアルプススタンドでも、あるいはテレビのこちら側でも。

 

大根を煮ていた鍋がふきこぼれそうだった。

あわてて火を消した、という、これはまごうことなきフィクション。

 

 

  

8月18日

叡王戦九段予選ラストは深浦九段が枠抜け。あらかた出揃った本選進出メンバーがなかなかカオスなことになってきた。組み合わせの妙が各所で働きそうな面々である。

 

個人的な印象ではあるけれど、予選のアタリも含めて、

鉄板:羽生九段、佐藤(天)八段、豊島七段

順当:丸山九段、久保九段、深浦九段、広瀬八段、佐々木(勇)五段

意外:中村(修)九段、千葉六段、及川六段、千田五段

といったかんじだろうか。残る枠は3つ。はてさて。

 

日本ハムは本日も逆転勝ち。260打席の大谷選手がついに468打席の中田選手(打席数はその時点で)のHR数を抜いてチーム2位に。

ソフトバンクと0.5差になったのはもちろんうれしいのだけれど、中田選手の心中やいかに、と忖度するとすこしばかり心配でもある。もっとも外野の勝手な懸念にすぎない(と願いたい)し、まだまだ残り試合数もある。そして、なんだかんだいって中田選手も現時点でのパ・リーグ打点王なのだ。

 

先日書いていた将棋関連の古本がどさっと届いた。ほくほく。

ほくほくしすぎて、ちょっと失敗した。

豚バラと小松菜とエノキを炒めるのに、なにをトチ狂ったかフライパンにしっかりゴマ油をしいてしまったのだ。最近、豚といえばたいてい豚コマや肩肉切り落としばかり使っていたのでついその雰囲気で料(りょう)ったら、どう考えても「豚と野菜のあぶらまみれ炒め」とでもいうべき物体が出来上がってしまった。食べている途中で胸焼けがしてきたので、あらためてフライパンを拭き清め、半分残しておいた小松菜をすべて加え、炒めなおす。だいぶましになった。ルーティンもときには考えものである。

 

話は冒頭にもどるが、本日(日付はもうきのうだ)の叡王戦、先崎先生のトークがなつかしき「将棋パトロール」のような軽快さでとてもおもしろかった。

 

もっとも、「なつかしき」なんて書いてはいるが、ぼくはリアルタイムで「将棋パトロール」を視聴していない。

物書きの言うことしゃべること、3割程度はたいてい罪のないうそなのだ。

 

だからどうした。

 

焼酎はうまし、人生は哀し。